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2017年10月「すべてを良きに」


 興味深い話を読みました。ある時、船が難破しました。たった一人の生存者が流されて、小さな無人島にたどり着きました。彼は、助けがきてくれる事を願ってくる日もくる日も神様に祈りました。

 

しかし、誰も来ませんでした。そのうち、彼もあきらめて何とかその島で生きのびるために、粗末ながら雨露のしのげる家を作りました。

 

ある日のこと、食べ物を探しに出かけたあと、家に戻ると、何とやっとの思いで建てた家から火がでているではありませんか。彼の気持ちは完全に打ちのめされてしまいました。そして、神様に向かって怒りをぶちまけました。「神様、どういう事ですか? 私をどこまでいじめたら気がすみますか?もうどうにでもして下さい。」

 

 ところが、その翌朝、無気力になってまだ寝ていた彼の所に救助隊が到着致しました。びっくりしてわけを尋ねると、救助隊の人は「あなたが出した煙が合図になって、ここに人がいる事が分かりましたよ。」と説明があったという事です。

 

 これこそ大きなマイナスに思えたことが、最大のプラスに働いたことの見事な実例ですね。私達の身近で小さい出来事においても、似通った経験をされた方はあろうかと思います。

 

 あるお母さんは、息子さんの問題で、長い間、辛い所を通らされていました。しかし、彼女はこう言ったのです。「辛いけれども、悪いことばかりではありません。この息子が問題を起こしたばっかりに、自分が傲慢にならなくてすみました。この事がなければ、私は今もきっと、鼻持ちならない人間でいたと思います。」

 

 また、ある元気な方が、急に病気になり入院、そして手術をされました。人生を常に積極的にとらえ、自分を鼓舞して、前に前に向かって歩んできたのに、神様のストップがかかったのです。少し、回復された時にこう言われました。「入院も、検査も、手術も本当に大変でした。今までは、人ごとでした。今回は、その苦労を身をもって分からせて頂きました。神様は、病気の人の苦しみ、切なさが実感できるように、私にも病気を与えられたのだと思います。」と、感慨深く話してくれました。 

 

預言者イザヤの言葉です。

 「天が地よりも高いように、わたしの道は、あなたがたの道よりも高く、わたしの思いは、あなたがたの思いよりも高いからだ。」 イザヤ書55章9節

 

 皆さんの中には今、神様のなされる事が分からなくて、悩んでおられる方がいるかもしれません。でも私たちは地上におり、神様は天におられます。私たちの理解には限りがありますが、神様にはすべてがお見通しです。

 

 始めに話した人のように、島流しにあって、家が燃えるような大変な経験をされたかもしれません。しかし、神様には神様だけに分かる理由があって、解決へと動かれる時と方法はすでにお決めになっておられます。そして最終的には、全てを良きに終らせて下さるのです。この事を信じて、平安を頂きませんか。